東京地方裁判所 昭和35年(ワ)6487号 判決
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〔事実と判断〕原告は訴外福山建設株式会社に自動車二台を左記の約定で売渡し、被告は同日右訴外会社の債務につき連帯保証をした。
(1) 買主は代金二〇四三、五二八円を支払うこととし、その内頭金として四六〇、〇〇〇円を直ちに支払う外、残金一、五八三、五二八円は昭和三四年六月三〇日より毎月末日毎に二四回に分割して支払う(二万円宛五回ついで七九、〇〇〇円宛二回、七八、〇〇八円一回、七八、〇〇〇円宛一五回、最終回七七、五二〇円)
(2) 売主は右代金完済迄自動車の所有権を留保し、その間買主に無償で貸与する。
(3) 買主が割賦金の支払いを一回でも怠つた場合、売主は通知催告を要せずして売買契約並に使用貸借契約を解除することができる。契約が解除されたときは売主は買主より自動車の返還を受ける外違約損害金として既払代金を没収し且未払代金相当額を買主に請求することができる。
然るに訴外会社は昭和三四年一一月末日から昭和三五年一月末までの割賦金二三六、〇〇八円の支払いをしないので、原告は昭和三五年二月一日右契約を解除し、違約金を未払代金額二三六、〇〇八円に減額した上、みぎ金員および訴状送達の日から年六分の割合による損害金の支払を求めた。
被告は本件違約金の特約日、売主は自動車の引渡しを受けた上違約金として既払代金を没収し、且未払代金相当額を請求することができるとするもので、右は売主に返還された自動車の価額を考慮しないもので、買主に苛酷で売主に暴利を得せしめるもので、公序良俗に反し無効である、と抗弁した。
判決はみぎ特約をそのまま強制すれば民法第九〇条に違反する疑があるが本件の場合は自動車返還時までに生じた割賦金の支払を求めるものであるから公序良俗に反しないとしてつぎのとおり説明した。曰く。
「そこで本件違約金の約定を公序良俗に反し無効であるとする抗弁につき判断する。右違約金の約定を無条件全面的に有効とすることには民法九〇条の観点から疑問がないではないが、契約解除によつて売買の目的物を売主に返還する場合、その返還までの間の割賦金は別段の事情のない限りその間における買主の使用料に相当するものと認めるのが相当であるから、返還までの間の既払の割賦金及未払割賦金をもつて違約金額とする限度においては、返還された目的物の価格に拘わりなく暴利性はなく、無効の契約とはならないものと解するのが相当である。原告の請求する違約金が本件自動車返還までの間の未払割賦金相当額であることは弁論の全趣旨より明瞭であるから、右請求は無効な違約金約定に基くものとは解しかたく右抗弁は理由がない。